Microsoftによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「Windows Vista」では、「Windows XP Service Pack 2」において導入されたセキュリティ管理機能「Security Center(セキュリティセンター)」と同様のコンセプトを有する「Mobility Center(モビリティセンター)」が実装される予定となっており、パワーマネジメント(電源管理)全般の見直しが図られる事となります。
この機能では、電源管理を始めとするノートパソコンの動作設定全般等、モバイルコンピューティングに関連する情報と設定が一元化される予定となっており、同時にアプリケーションやハードウェアが、コンピューターがスリープ状態に入る事を拒否する事ができなくなるような仕組みが導入される事となります(これでゆっくりスリープできる?–Windows Vistaの電源管理対策)。
現行GA版の「Windows XP」では、パワーマネジメント(電源管理)のオプションとして、
- シャットダウン(電源オフ)
- スタンバイ(サスペンデッド)
- ハイバネーション(休止状態)
の3種が提供されていますが、現状では殆どの場合において「オン」か「シャットダウン」の何れかしか選ばれていないのが実情のようです。
この要因として考えられるのは、
- ユーザーが「スタンバイ」や「ハイバネーション」等の機能性を正しく理解していない(「Windows XP」の電源オプションは、表現が抽象的で分かりづらい)
- 特に業務用途等で複数のユーザーにて共用されてるPCの場合だと、理解していても使おうとしない
- スリープさせたつもりが、実際にはスリープ状態に遷移していない(「Windows XP」では、アプリケーションやハードウェアが状態遷移の如何によって、コンピューターのスリープ状態への移行を拒否する事ができる)
等があるようですが、この認識のズレによって消費されている電力量は、実際に公表されてはいませんが、Microsoft曰く「信じ難い数値だった」そうです。
そして次世代デスクトップオペレーティングシステム「Windows Vista」では、上記の問題に対する対応として、以下の施策が検討されています。
- 「Control Panel(コントロールパネル)」>「Power Options(電源オプション)」を より理解し易い表現で記述し、選択肢も3種類のオプションのみとする。同時に、設定のデフォルト値も省電力性の高い項目を採用する
- 新たなスリープモードとして「ハイブリッドスリープ」を導入
- アプリケーションやハードウェアに対して、コンピューターのスリープ状態への移行に対する拒否権を与えない
昨今のテレビチューナーを搭載したPCには、電源オフ(シャットダウン)の状態からでも、直ぐにテレビを視聴する事ができるようになる「インスタントオン」の機能が重宝されていますが、ベースとなるWindows自体が電源管理の効率化を推進し、且つ「使いたい時に直ぐに使える」家電のような足回りを実現するには、ソフトウェア、ハードウェア共にサードパーティーデベロッパーの協力が不可欠でしょう。
このような背景からも、今回のMicrosoftの措置は 地味ながらもOSメーカーが取り組まなければならない事をよく理解した行動の一つとして評価できるのではないかと思います。